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コラム

「ストレスを科学するシリーズ」 ストレスをマネジメントする

【ストレスマネジメントの重要性】

令和4年度に厚生労働省が行った「健康実態調査結果の報告」によると、日常生活で悩みやストレスがあると回答した方は、75%(1,304人中978人)でした。ストレスの内容は、自分や家族の健康状態、病気や介護、自分の仕事、収入・家計・借金等で、悩みがストレスになっていると考えられます。誰しもが抱えるといえるストレスは、生命を脅かすこともあるため、早急に対処し乗り越え、回復することが望ましいです。ストレスに直面してもしなやかに乗り越え、回復する力や能力は、遺伝要因と環境要因が相互に影響し合っているといわれています。ストレスに関与する遺伝子は、10種類以上が見つかっています。また、ストレスを受けて育つと、大人になってからストレスに弱くなるなど、環境要因が脳の発達に影響を及ぼし、人格形成や学習能力などに影響することが分かってきています。

そこで、自己の傾向や特性を知って、適切にストレスに対処し、その影響を軽減させる方法を実践することで、ストレスが発端となる症状や病気を未然に防ぐ、ストレスのマネジメントが非常に重要です。

 

【ストレスのサイン】

ストレスをマネジメントする第一歩は、まずはストレスがあることに気づくことです。自己を知り、ストレスに気づき、自己に合わせた対処を行うことが、ストレスをマネジメントする要だと思います。ストレスのサインは、環境やストレスの強さにより様々です。ストレスのサインは、体調の変化や睡眠の変化、食欲の変化、感情の変化、行動の変化など様々です。認知能力や判断能力、意欲などが低下するので、普段起こらないハプニングや事故が生じ、さらなるストレスを感じ、負のスパイラルが回ります。高齢になるほどストレスの回復には時間がかかるため、早め早めの対処が必要です。

 

【ストレスをマネジメントしてより良く生きる】

ストレスのマネジメントは、身体的にも精神的にも自己を整え、ストレスと上手く付き合っていくことを目指します。ストレスを完全に無くすことはできませんが、適切な対策をとることでストレスを減らすことができます。身体を整える方法は、適度な運動や十分な栄養や睡眠、入浴など生活習慣を整える方法があります。精神を整える方法は、コーピングやマインドフルネス等があります。コーピングには、ストレスをひき起こした問題や状況に立ち向かう問題解決型のコーピングや、問題そのものの解決ではなく良い面を見るようにしたり、問題を避けたりしながら自分の情動を調節する情動対処型のコーピング等があり、自己の傾向や特性、ストレスの状況に合わせて組み合わせたり、選択することが望ましいです。自分が心地よいと思えるものを取り入れ、試してみることをお勧めします。

 

【参考文献】

ストレスの脳科学 田中正敏

ストレスの生物学 室伏 きみ子

ストレスマネジメント 押川聖子

ストレスの対処力SOC 山崎喜比古 坂野純子 戸ヶ里泰典

Newton 別冊 ストレスと脳の取扱説明書